一般に、腰の骨や周囲の筋肉など、このあたりに痛みがあることを、広い意味で、腰痛(症)といいます。
せまい意味の腰痛症とは、ほかの病気によっておこっている一部分症としての腰痛や、背骨や神経にはっきりした原因のある腰痛を除いた、あまり原因のはっきりしないものをいいます。
頻度の非常に高い病気で、整形外科の外来患者さんの20~30%が腰痛を訴えて来院されます。
腰痛の患者さんは、高校生くらいまでは、たいへん少ないのですが、30~40歳代にもっとも多くなり、おとなでは、ほとんどの人が、一生のうちに一度は経験するといわれるほど、よくみられるものです。しかし、その大部分は容易に治るものです。
おもしろい調査結果があります。腰痛や坐骨神経痛(脚にまで痛みが走るもの)がある50歳以上の整形外科医を追跡調査したところ、3か月以上痛みが続く人は、約1割しかいなかったそうです。
つまり、多くの腰痛症は、それほど心配するものではない、ということです。しかし、なかには、たいへんな病気の1つの症状であったり、なんらかの治療をしなければ治らない腰痛もあります。ですから、まずもって専門医である整形外科を受診して、原因を調べてもらってください。
内臓の病気などが原因となっているものでは、さらに他科の受診も必要となります。
[原因]
腰痛の原因は、つぎの5つに分類されます。
①背骨やその周囲の筋肉などの病気に由来するもの。
②内臓の病気に由来するもの(婦人科の病気も含む)。
③神経の病気に由来するもの。
④血管の病気に由来するもの。
⑤心因性のもの。
もっともよくみられる腰痛は、やはり整形外科的な原因によるもので、①に分類されるものです。
ほんのわずかの体位の変化、たとえば、朝起きて顔を洗おうとしてちょっと前かがみになったとか、重いものを持ち上げようとしたなどで、突然、腰に激痛がおこるものを急性腰痛症(ぎっくり腰)といいます。
こういう急性期を過ぎても、長く持続する腰痛や、くり返しおこる腰痛を、慢性腰痛症といいます。
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